Satoshi Haradaの日記

Satoshi HaradaがAgileに関することを書き残していく日記

教育心理学のアタッチメント理論がチームワークの信頼感に与える影響の考察

私は製造業でアジャイルコーチとして働きながら、大学の心理学専攻に入学して心理学を学んでいる。

なぜアジャイルコーチである私が心理学を学ぼうと思ったか。それは、アジャイルは“人”を重視しており、チームワークが上手くいくかどうかも人に依存するからだ。よって、人の心を科学的に理解することで、アジャイルな仕事の進め方やチームワークをより科学的に理解することに繋がり、より良い仕事の進め方の実現に寄与すると考えたからだ。

教育心理学のアタッチメント理論

今回は教育心理学のアタッチメント理論について、その概要を解説する。また、アタッチメント理論がアジャイルやチームワークにどのような影響があるのかについても考察する。

まず、アタッチメントとは、人と人の間に時間と空間を超えて存在する情緒的な絆のことで、日本語では愛着とも呼ぶ。アタッチメントの対象となる人物は安心と安全の感覚をもたらし、外の世界の探索を可能とする存在でもある。

アタッチメント理論は、ボウルビィ母子関係入門(Bowlby、1981)において、「子どもが親など特定の対象との間で作り出す絆」と表現されており、アタッチメント対象との「望まざる離別や喪失によって引き起こされる不安、怒り、うつ、情緒的苦悩、人格障害のさまざまな形態」との関連付けをを説明できるとされている。

私がアタッチメント理論に興味関心を持った理由は、アタッチメントの発達がその後大人になったときに「他者と信頼関係を構築するための土台」になると考えたからだ。

アタッチメントや愛着は、養育者のいる子どもに対して使う言葉である。しかし、子どものときに良いアタッチメントの発達を経ていないと、大人になったときにさまざまな問題を生じさせる可能性があるのではないかと、私は考えている。

これはチームで仕事を行う現場において重視される「心理的安全性」に強く影響すると考えられる。心理的安全性の保たれたチームには「自分の言ったことがチームメンバーから否定されない安心感」があり、このことが成立するにはチームメンバーとの高度な信頼関係が必要と言える。この信頼関係の構築を上手く行えるかどうかは、幼少期のアタッチメントに少なからず影響を受けているのではないかという仮説を私は持っている。

アタッチメント発達の過程において、3歳以降に「内的作業モデル」を発達させていくが、この発達が良好であったかどうかが後の対人交流に強い影響を与える。内的作業モデルとは、「養育者は自分のところに戻ってきてくれる」「助けてくれる」という主観的な確信のことだ。(遠藤、1995)

心理的安全性の基礎となる信頼感はどのように成立するのかについてはまだわかっていないことが多く、仕事の現場では言葉だけが先行して科学的に説明されずに使われていることが多い。私は、アタッチメント理論から大人の信頼感が発達していき、大人になったときの心理的安全性やチームワーク、生産性にまで影響するのではないかと考えている。