Satoshi Haradaの日記

Satoshi HaradaがAgileに関することを書き残していく日記

主体性という言葉をエイジェンシーの5要素で理解する

RSGT2025の登壇発表に向けて、保育の書籍を読んで理解を進めているのですが、その中で主体性に関する大変興味深い記述があったので紹介したいと思います。

読んでいる保育の書籍

新時代の保育のキーワード ~乳幼児の学びを未来につなぐ12講~ (教育技術)

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世界の教育改革をリードする組織の一つであるOECD経済協力開発機構)が、二〇一八年に「Education 2030」という大事な文章を発表しました。その文章でキーワードになっているのが「エイジェンシー(Agency)」という言葉です。

 

エイジェンシーは「変化を起こすために、自分で目標を設定し、振り返り、責任を持って行動する能力」と定義されています。
(中略)
新しい変化を起こすために、どうやるかを自分あるいは自分たちで考える。そしてそのために試行錯誤し、反省もし、評価もして、もう一回やっていく。そういう力をOECDは「エイジェンシー」と言ってるんですね。私はこれは現代的な「主体性」と言っていいんじゃないかと思っているんです。

アジャイルではチームやメンバーに主体性が必要ってよく言われる気がするし、私もなんとなくそう思っていました。

しかし、一言で「主体性」と言っても、それが何を指しているかはざっくり曖昧に使っていたような気がします。

そして、“振り返り(ふりかえり)”という言葉がOECD経済協力開発機構の文書「Education 2030」で登場するのも興味深い。

保育の雑誌を見ていても頻繁に「振り返り」という言葉が登場しているので保育業界はなかなか進んでるなーと思っていたのですが、こういうところからも来ているのかもしれません。

エイジェンシーとは何か

上で紹介した書籍の中で、著者の汐見先生はエージェンシーの5要素を紹介しています。(カッコ内は私の意訳です)

1. 当事者性(自分が主人公だという感覚)
2. 自己原因性(自分で追求する)
3. 反省性(うまくいくやり方を考える)
4. 責任意識(最後まで頑張ろうという意志)
5. 実践的=変革的な力(変化を起こそうとする力)

これらは曖昧な雰囲気になりがちな“主体性”という言葉を、より具体的に説明できるのでは?と思ったわけです。これは自分としては新発見でした。

もう少し深掘りしてみます。

1. 当事者性(自分が主人公だという感覚)

当事者性。これは、自分が自分の人生の主人公として生きているんだと、自覚しているかどうかですね。

主体性がある人は、自分の人生を生きている人ということです。これは自己肯定感の高さも関係してくるでしょう。

2. 自己原因性(自分で追求する)

自己原因性。これは自責思考・他責思考ということでしょう。主体性が高い人は他責ではなく自責で物事を考えており、自分ごととして物事を探究していくということです。

3. 反省性(うまくいくやり方を考える)

反省性。反省というと反省会のようなものを想像しがちだが、ここで言う反省はリフレクション、つまり内省のことを指すのではないかと思います。

アジャイルの世界でいう「ふりかえり」に近いのではないかと思った。主体性が高い人は、自らふりかえりを行い、より良いやり方を考えることができる人ということになりそうです。

4. 責任意識(最後まで頑張ろうという意志)

責任意識。つまり、最後まで頑張ってやりきろうという意思のことですね。主体性が高い人は、自分の取り組んでいることに対して責任感があり、最後までやり切ろうとする人のことを指すわけです。

5. 実践的=変革的な力(変化を起こそうとする力)

変化を起こそうとする力です。主体性が高い人は、現状に満足せず・現場のあたりまえを疑い、自ら変化を起こす人ということですね。

どうでしょう?主体性の言葉の解像度が高まったのではないでしょうか?

エイジェンシーの5要素はどう役立ちそうか

会社社会においても「もっと主体性を持って行動してほしい」という言葉はよく聞きます。しかしその主体性というのは具体的にどういうことを指すのかは、曖昧なまま主体性という言葉は便利に使われてしまっているのでは?と思うのです。

エイジェンシーは5つの要素がより具体的に示されており、主体性とはつまり何かをよりわかりやすく説明できそうだと思いました。

仕事の中で「主体性」という言葉を見聞きしたら、それはエイジェンシーの5要素のどれのことを言っているのだろう?と考えてみると、その求められている主体性の解像度が高まるかもしれません。

保育の主体性を育む教育

さらに言えば、この主体性・エイジェンシーを今の保育や教育では育もうとしているわけです。これからやってくるフレッシュな社会人は、我々よりも格段に主体性が高い人材になるでしょう。

すでに働いている私たちの主体性も、アップデートし続ける必要があるのかもしれません。